建設×外国人採用読了 9分

建設業で働ける外国人の在留資格は?技能実習・特定技能・育成就労を比較

建設業で外国人を雇用したいと考えたとき、最初にぶつかるのが「どの在留資格で受け入れればいいのか」という問題です。技能実習、特定技能、技術・人文知識・国際業務など複数の制度があり、それぞれ在留期間、転職の可否、対象業務、費用が大きく異なります。

さらに2027年4月には、技能実習制度に代わる「育成就労制度」が施行される予定です。制度の過渡期にある今だからこそ、各在留資格の違いを正しく理解し、自社の採用戦略に合った制度を選ぶことが重要になります。

この記事では、建設業で外国人を雇用できる主要な在留資格を網羅的に比較し、それぞれのメリット・デメリット、選び方のポイント、2027年の制度変更に向けた準備まで解説します。

建設業で外国人を雇用できる在留資格の全体像

まず、建設業で外国人を雇用する際に利用できる主な在留資格を整理します。大きく分けて以下の5種類があり、それぞれ目的や対象者が異なります。

  • 技能実習(1号・2号・3号) ── 開発途上国への技能移転を目的とした制度。現行の主力受入れスキーム
  • 特定技能(1号・2号) ── 人手不足分野での即戦力確保を目的とした制度。建設分野は1号・2号の両方が対象
  • 育成就労(2027年4月施行予定) ── 技能実習制度を発展的に解消し、「人材育成」と「人材確保」を両立させる新制度
  • 技術・人文知識・国際業務 ── 大卒以上の外国人が施工管理や設計等の専門職に就く在留資格
  • 特定活動46号 ── 日本の大学を卒業した外国人が、日本語を活用して建設現場の管理補助等に従事する在留資格

建設現場の作業員として受け入れる場合は、技能実習・特定技能・育成就労の3制度が中心になります。一方、施工管理技士や設計職などホワイトカラー的な業務に従事させる場合は、技術・人文知識・国際業務や特定活動46号も選択肢に入ります。

以下では、建設業で利用頻度の高い順にそれぞれの在留資格を詳しく解説します。

技能実習(1号・2号・3号)

技能実習制度は、開発途上国の人材に日本の技能を習得させ、母国の経済発展に寄与することを目的とした制度です。1993年に創設されて以来、建設業における外国人受入れの最も一般的なスキームとして活用されてきました。

制度の仕組み

技能実習は段階的に3つの区分に分かれます。

  • 技能実習1号(1年目):入国後講習を経て実習を開始。基礎的な技能を習得する段階。在留期間は最長1年
  • 技能実習2号(2〜3年目):技能検定基礎級等に合格後、在留資格を変更。より実践的な技能を習得する段階。在留期間は最長2年
  • 技能実習3号(4〜5年目):技能検定3級等に合格し、優良な監理団体・実習実施者の要件を満たした場合に移行可能。在留期間は最長2年

つまり、1号から3号まで順調に進めば最長5年間の在留が可能です。ただし3号への移行には「優良認定」が必要であり、すべての企業が利用できるわけではありません。

建設業における対象職種

建設業では、型枠施工、とび、鉄筋施工、内装仕上げ施工、左官、タイル張り、配管、建築板金など22職種33作業(2026年2月時点)が技能実習の対象となっています。自社の業務がこれらの対象職種に該当するかを事前に確認する必要があります。

メリット

  • 原則として転職(転籍)ができないため、最長5年間の安定した人材確保が可能
  • 未経験者を一から育成できるため、自社の技術・やり方を習得させやすい
  • 監理団体のサポートを受けながら受入れができるため、初めての企業でも比較的取り組みやすい
  • 長年の運用実績があり、送出国・送出機関の選択肢が豊富

デメリット

  • 監理団体への入会金・月額管理費、送出機関への費用など初期コストが高い(1年目で80〜150万円/人が目安)
  • 「技能移転」が名目のため、実態との乖離が国際的にも批判されている
  • 転籍ができないことで外国人の権利が制限され、失踪リスクにもつながる
  • 2027年4月に育成就労制度に移行予定のため、新規の技能実習計画認定は段階的に縮小される見込み

特定技能(1号・2号)

特定技能制度は2019年4月に創設された、人手不足が深刻な特定分野で即戦力の外国人材を受け入れるための制度です。建設分野は特定技能1号・2号の両方の対象となっており、技能実習からの移行パスとしても重要な位置づけにあります。

特定技能1号

  • 在留期間:通算5年(1年・6か月・4か月ごとの更新)
  • 技能水準:建設分野特定技能1号評価試験に合格、または技能実習2号を良好に修了
  • 日本語能力:日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト合格
  • 転職:同一分野内であれば転職可能
  • 家族帯同:不可
  • 建設業固有の要件:JAC(建設技能人材機構)への加入、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録、月給制での報酬支払い

特定技能2号

  • 在留期間:上限なし(3年・1年・6か月ごとの更新)。実質的に無期限で在留可能
  • 技能水準:建設分野特定技能2号評価試験に合格、または技能検定1級等に合格。加えて班長としての実務経験
  • 転職:同一分野内で転職可能
  • 家族帯同:配偶者と子に限り可能
  • 永住への道:在留期間の更新を重ねることで、永住許可の要件を満たす可能性がある

メリット

  • 技能実習修了者をそのまま特定技能に移行させることで、育てた人材を長期的に確保できる
  • 2号に移行すれば在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能になるため、定着率の向上が期待できる
  • 技能実習と異なり「人材確保」が正面からの目的であり、制度と実態の整合性が高い
  • 国内在住の技能実習修了者を採用すれば、渡航費不要で初期コストを大幅に抑えられる

デメリット

  • 同一分野内で転職が可能なため、より条件の良い企業に移る可能性がある
  • 建設分野ではJAC加入・受入負担金(月額12,500〜20,000円/人)などの固有コストが発生
  • 2号試験のハードルが高く、2号への移行実績はまだ限定的
  • 登録支援機関への委託費(月額2〜3.5万円/人)が継続的に発生(自社支援体制を構築すれば不要)

育成就労制度(2027年4月施行予定)

育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消し、「人材育成」と「人材確保」を正面から両立させる新制度として2027年4月に施行予定です。2024年6月に関連法が成立し、現在は施行に向けた詳細設計が進められています。

技能実習との主な変更点

  • 転籍(転職)の柔軟化:一定の条件(同一分野、就労1〜2年経過、技能・日本語の基準を満たす等)を満たせば、本人の意思による転籍が可能に
  • 在留期間:基本3年間。特定技能1号への移行を前提とした設計
  • 監理団体の役割変更:現行の「監理団体」は「監理支援機関」に改組され、許可要件が厳格化
  • 特定技能1号への移行が原則:育成就労の3年間で技能と日本語を習得し、試験に合格すれば特定技能1号に移行できる
  • 人権保護の強化:外国人本人が負担する来日費用の上限規制、やむを得ない事情による転籍の保護強化

キャリアパス:育成就労 → 特定技能1号 → 特定技能2号

育成就労制度の最大の特徴は、外国人材の長期的なキャリアパスが明確に制度化される点です。

  • 育成就労(3年間):基礎的な技能と日本語を習得。転籍も条件付きで可能
  • 特定技能1号(通算5年):即戦力として就労。同一分野内で転職可能
  • 特定技能2号(上限なし):熟練技能者として在留。家族帯同可能。永住許可の申請も視野に入る

このキャリアパスにより、最大で無期限に日本で就労できる道が開かれます。企業にとっては、最初から長期雇用を見据えた人材育成が可能になり、外国人材にとってもモチベーション向上につながる仕組みです。

建設業への影響

建設業は技能実習の最大の受入れ業種であるため、育成就労制度への移行の影響は特に大きくなります。具体的には以下の点に注意が必要です。

  • 現在の技能実習生は経過措置により、在留期間中は現行制度のまま継続可能
  • 2027年4月以降の新規受入れは育成就労制度に基づく手続きが必要
  • 転籍が可能になることで、人材流出リスクへの対策(待遇改善・職場環境の整備等)が求められる
  • 監理支援機関の選定を改めて行う必要が出てくる可能性がある

その他の在留資格(技術・人文知識・国際業務 / 特定活動46号)

技術・人文知識・国際業務

一般に「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれるこの在留資格は、大卒以上の学歴や一定の実務経験を持つ外国人が対象です。建設業では主に以下のような業務に従事する場合に該当します。

  • 施工管理技士としての現場管理業務
  • 建築設計・構造設計・設備設計
  • CADオペレーション・BIM関連業務
  • 外国人労働者の管理・通訳業務

在留期間は5年・3年・1年・3か月のいずれかで、更新に上限はありません。家族帯同も可能です。ただし、単純作業(現場での肉体労働)には従事できないという大きな制約があります。施工管理と称しながら実態は現場作業という場合、在留資格の不正使用と判断されるリスクがあるため注意が必要です。

特定活動46号

日本の4年制大学または大学院を卒業した外国人が対象の在留資格です。「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」に従事することが要件で、日本語能力試験N1またはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上が必要です。

建設業では、外国人作業員とのコミュニケーション役を兼ねた現場監督補佐や、多国籍チームのマネジメント補助などの業務が想定されます。在留期間は5年・3年・1年・6か月のいずれかで更新可能、家族帯同も認められています。

ただし、この在留資格の取得者数は限定的であり、建設業での活用事例はまだ多くありません。日本語力の高い外国人材を管理職候補として育成したい場合に検討する価値がある制度です。

在留資格の大比較表

ここまで解説してきた在留資格の主要な項目を一覧で比較します。自社の状況と照らし合わせて、最適な制度を検討する際の参考にしてください。

比較項目技能実習(1〜3号)特定技能1号特定技能2号育成就労(2027年〜)技人国
制度の目的技能移転(国際貢献)人材確保人材確保(熟練)人材育成+確保専門的・技術的業務
在留期間最長5年(1+2+2年)通算5年上限なし(更新制)最長3年上限なし(更新制)
転職(転籍)原則不可同一分野内で可能同一分野内で可能条件付きで可能自由
家族帯同不可不可配偶者・子のみ可不可配偶者・子のみ可
対象業務(建設)22職種33作業土木・建築・ライフライン等同左特定技能と整合予定施工管理・設計等
求められる技能水準未経験者可試験合格 or 技能実習2号修了上位試験合格+班長経験未経験者可大卒+専門知識
日本語要件入国時は不問(N4推奨)N4以上規定なし(実質N3以上)N5以上(入国時)不問(実務上は必要)
受入れ機関監理団体(団体監理型)登録支援機関(任意委託)支援義務なし監理支援機関不要
初期費用の目安(1人)80〜150万円35〜70万円(国内)-(1号からの移行)未確定(技能実習より低減見込み)紹介料50〜100万円
月額ランニングコスト管理費2.5〜5万円/人支援費2〜3.5万円+JAC負担金JAC負担金のみ未確定なし(給与以外)
永住可能性なしなし(2号移行後に可能性あり)ありなし(特定技能移行後に可能性あり)あり
メリット転籍不可で安定確保 / 未経験者育成可即戦力 / 初期費用が低め無期限在留 / 家族帯同 / 定着率高転籍の柔軟化で人権面改善 / キャリアパス明確高度人材 / 管理職候補
デメリット高コスト / 制度廃止予定 / 人権面の課題転職リスク / JAC費用試験難易度が高い詳細未確定 / 転籍対策が必要現場作業不可 / 対象者限定

自社に最適な在留資格の選び方

在留資格の種類を理解したところで、次に重要なのは「自社にはどの制度が最適か」を判断することです。以下の4つの視点から、自社の状況を整理してみてください。

視点1:求める人材の経験レベル

未経験者を一から育てたい場合は、技能実習または育成就労制度が適しています。一方、即戦力が欲しい場合は、既に技能検定に合格している特定技能1号の人材を国内で採用するのが効率的です。施工管理や設計などの専門職を採用したい場合は、技術・人文知識・国際業務を検討します。

視点2:雇用期間の希望

3〜5年程度の中期的な人材確保を目指すなら、技能実習(最長5年)や特定技能1号(通算5年)が候補になります。長期的・恒常的な戦力として外国人を雇用したい場合は、特定技能2号への移行を見据えた採用計画が有効です。特定技能2号は在留期間の上限がなく、家族帯同も可能なため、定着率が格段に高くなります。

視点3:転職リスクへの許容度

外国人の転職リスクをできるだけ抑えたい場合は、現行の技能実習制度が最も有利です。ただし、2027年以降の育成就労制度では条件付きの転籍が認められるため、今後は待遇や職場環境の改善による定着促進が不可欠になります。転職リスクを前向きに捉え、「選ばれる企業」を目指す姿勢が長期的には重要です。

視点4:コストとリソース

初期費用を抑えたい場合は、国内在住の特定技能人材の採用が最もコストパフォーマンスが高く、1年目の総額は35〜70万円/人が目安です。技能実習は初期費用が80〜150万円/人と高い一方、転籍不可による安定性があるため、長期的なトータルコストで比較する必要があります。

また、外国人受入れの社内体制(住居の手配、日本語教育、生活サポート等)にどれだけのリソースを割けるかも判断材料になります。自社での対応が難しい場合は、サポートが手厚い監理団体や登録支援機関を活用することで負担を軽減できます。

判断フロー

上記の視点を踏まえ、一般的な判断の流れを整理すると以下のようになります。

  • 「今すぐ即戦力が欲しい」「初期費用を抑えたい」→ 国内在住の特定技能1号人材を採用
  • 「未経験者を自社で育てたい」「人材の安定確保を重視」→ 技能実習で受入れ(2027年以降は育成就労制度へ)
  • 「長期的に定着する外国人材が欲しい」→ 特定技能1号で採用し、2号への移行を支援するキャリアパスを設計
  • 「施工管理者や設計者が不足している」→ 技術・人文知識・国際業務で大卒の外国人を採用
  • 「2027年の制度変更に備えて準備したい」→ 育成就労制度の動向を注視しつつ、特定技能1号での受入れ体制を整備

なお、複数の在留資格を組み合わせて活用することも有効です。例えば、技能実習で育てた人材を特定技能1号に移行させつつ、新たに特定技能1号の人材を国内で採用することで、安定的な人材パイプラインを構築できます。

2027年の制度変更に向けて今やるべき準備

2027年4月の育成就労制度施行に向けて、建設会社が今から取り組んでおくべき準備事項を整理します。

1. 現在の受入れ状況の棚卸し

まず、自社で現在受け入れている外国人材の在留資格、在留期限、技能レベル、日本語力を一覧で把握しましょう。特に技能実習生については、2027年4月時点での在留状況によって経過措置の適用有無が変わるため、一人ひとりのスケジュールを確認しておくことが重要です。

2. 特定技能への移行体制の整備

育成就労制度は「特定技能1号への移行」を前提とした制度設計です。現行の技能実習から特定技能1号への在留資格変更の実績を今のうちに積んでおくことで、制度変更後もスムーズな対応が可能になります。具体的には以下を進めておくとよいでしょう。

  • JAC(建設技能人材機構)の正会員団体への加入、または賛助会員への登録
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)への事業者登録・技能者登録
  • 技能実習修了予定者への特定技能移行の案内と試験対策の支援
  • 登録支援機関の選定、または自社での支援体制の構築

3. 「選ばれる企業」になるための環境整備

育成就労制度では転籍が条件付きで可能になるため、外国人材に「この会社で働き続けたい」と思ってもらえる環境づくりが極めて重要になります。

  • 給与水準の見直し(日本人従業員と同等以上の報酬が法律上の要件)
  • 社宅・寮の整備と生活環境の充実
  • 日本語教育の機会提供(オンライン学習ツールの導入等)
  • キャリアパスの明示(育成就労→特定技能1号→2号への道筋を説明)
  • 安全教育・技能教育の体系化(技能検定合格に向けた社内研修の実施)
  • 相談窓口の設置や定期面談の実施による精神面のサポート

4. 最新情報の収集

育成就労制度の施行規則や運用指針など、詳細はまだ確定していない部分が多くあります。出入国在留管理庁や厚生労働省の発表を定期的にチェックし、監理団体や登録支援機関からの情報提供も積極的に活用してください。

まとめ:在留資格の違いを理解し、戦略的な採用計画を

建設業で外国人を雇用する際の在留資格について、この記事のポイントを整理します。

  • 建設現場の作業員として受け入れる場合は、技能実習・特定技能・育成就労の3制度が中心。施工管理や設計の専門職には技術・人文知識・国際業務も活用可能
  • 技能実習は転籍不可で安定確保できるが、初期コストが高く、2027年以降は育成就労制度に移行予定
  • 特定技能1号は即戦力の確保に有効で、国内在住者であれば初期費用も抑えられる。ただし転職リスクがある
  • 特定技能2号は在留期間の上限がなく、家族帯同・永住も可能。長期的な人材定着の鍵となる
  • 育成就労制度(2027年〜)は「育成就労→特定技能1号→特定技能2号」のキャリアパスを制度化。転籍の柔軟化に備えた環境整備が急務
  • 自社に最適な制度は、「求める人材レベル」「雇用期間」「転職リスク許容度」「コスト」の4つの視点で判断する

外国人材の活用は、建設業の人手不足を解決するための重要な経営戦略です。制度の過渡期にある今こそ、各在留資格の特徴を正しく理解し、中長期的な視点で採用計画を立てることが、他社との差別化につながります。

「どの在留資格が自社に合っているか判断しかねる」「制度変更に向けて何から準備すればいいかわからない」という方は、専門知識を持つアドバイザーに相談されることをおすすめします。

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