建設×外国人採用読了 9分

建設業の外国人採用にかかる費用は?技能実習・特定技能の相場を徹底比較

建設業の人手不足は年々深刻化しており、2024年度の建設技術者の有効求人倍率は9.58倍と、全産業平均(1.25倍)を大きく上回っています。国内の若年層の建設離れが進む中、外国人材の活用はもはや一部の大手企業だけの話ではなく、中小規模の建設会社にとっても不可欠な選択肢となりました。

しかし、いざ外国人を採用しようとすると「結局トータルでいくらかかるのか分からない」「技能実習と特定技能、どちらがコスパが良いのか」と悩む経営者の方が非常に多いのが現実です。費用構造が複雑で、紹介会社や監理団体によって金額にバラつきがあるため、相場を知らないまま契約してしまい、想定外の出費に苦しむケースも少なくありません。

この記事では、建設業で外国人を採用する際にかかる費用を「技能実習」「特定技能(国内)」「特定技能(海外)」の制度別に徹底比較し、隠れコストや費用を抑えるコツまで網羅的に解説します。

制度別の費用比較一覧【技能実習 vs 特定技能】

まずは全体像を把握しましょう。以下の表は、建設業で外国人を1名採用した場合の主な費用項目と相場をまとめたものです。

費用項目技能実習特定技能(国内在住者)特定技能(海外在住者)
初期費用(紹介料等)30〜50万円20〜40万円30〜50万円
渡航・入国費用15〜25万円0円15〜25万円
在留資格申請費5〜15万円5〜10万円5〜15万円
月額管理費/支援費2.5〜5万円/人2〜3.5万円/人2〜3.5万円/人
監理団体入会金10〜30万円--
JAC年会費(建設業)ありありあり
1年目の総額目安80〜150万円35〜70万円70〜120万円

上記はあくまで目安であり、受入れ人数・送出国・紹介会社によって変動します。特に技能実習は初期費用が高い一方で3年間(最大5年間)の在籍が前提のため、長期的なコストパフォーマンスも考慮する必要があります。特定技能は初期費用が低めですが、人材の転職リスクがある点がトレードオフです。

技能実習の費用を詳しく解説

技能実習制度で外国人を受け入れる場合、費用は大きく「入国前」「入国時」「入国後(毎月)」の3段階に分かれます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

監理団体への入会金・年会費

技能実習生を受け入れるには、監理団体(協同組合等)への加入が必須です。入会金は10〜30万円、年会費は1〜5万円が相場です。監理団体によって金額は大きく異なり、入会金が無料の代わりに月額管理費が高いケースもあるため、トータルコストで比較することが重要です。

送出機関への費用

海外の送出機関に対しては、人材の募集・選抜・事前教育に関わる費用が発生します。ベトナム・インドネシア・ミャンマーなど送出国によって相場が異なりますが、企業側の負担は通常15〜30万円程度です。なお、送出機関が実習生本人から過大な手数料を徴収していないか確認することも、コンプライアンス上重要です。

渡航費用・来日後の講習費

実習生の渡航費用(航空券代)は5〜15万円で、企業が全額または一部を負担するのが一般的です。来日後は法定講習(日本語・法的保護情報・生活知識)を約1か月間受ける必要があり、この期間の講習手当(生活費)として月額6〜8万円程度を企業が負担します。

建設キャリアアップシステム(CCUS)登録費

建設業では建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が義務化されています。技能者登録料は1人あたり2,500円、事業者登録料は資本金に応じて0円〜2,400,000円(個人事業主は0円、資本金500万円未満は3,000円)です。小規模の建設会社であれば大きな負担にはなりません。

隠れコスト(見落としがちな費用)

  • 通訳・翻訳費用:入国直後や技能検定時に通訳が必要になるケースがあり、1回あたり1〜3万円程度。母国語でのマニュアル翻訳にも費用が発生します。
  • 住居の準備費用:寮やアパートの初期費用(敷金・礼金・家具家電の準備)で10〜30万円。家賃は本人から控除可能ですが、上限があるため企業負担が残るケースが多いです。
  • 生活サポート費:携帯電話の契約、自転車の購入、銀行口座開設の付き添いなど。1人あたり3〜5万円程度見ておくと安心です。

特定技能の費用を詳しく解説

特定技能は技能実習と比べてシンプルな制度設計で、監理団体への加入が不要です。ただし、登録支援機関への委託費やJAC(建設技能人材機構)への費用が発生します。

人材紹介手数料

特定技能人材の紹介手数料は成功報酬型が主流で、相場は20〜40万円/人です。年収の20〜30%を手数料とする会社もありますが、建設業では定額制が一般的です。国内在住の技能実習修了者を採用する場合は比較的低く、海外から新たに呼び寄せる場合は高くなる傾向があります。

登録支援機関への委託費

特定技能外国人に対しては、入国前のガイダンスから生活オリエンテーション、定期面談まで「1号特定技能外国人支援計画」に基づく10項目の支援が義務づけられています。これを外部の登録支援機関に委託する場合、月額2〜3.5万円/人が相場です。自社で支援体制を構築すれば外部委託費は不要ですが、専任の支援責任者・担当者の配置が必要になります。

JAC(建設技能人材機構)の費用

建設分野で特定技能外国人を受け入れる場合、JAC(一般社団法人建設技能人材機構)の正会員である建設業者団体への加入、またはJACの賛助会員になる必要があります。賛助会員の年会費は24万円です。加えて、受入負担金として外国人1人あたり月額12,500円〜20,000円が発生します。

国内在住者 vs 海外在住者のコスト差

特定技能の大きなメリットは、日本国内に既にいる人材を採用できる点です。技能実習を修了した外国人や、留学生からの在留資格変更者であれば、渡航費用・入国手続き費用がかからず、初期費用を大幅に抑えられます。

比較項目国内在住者海外在住者
渡航費用0円15〜25万円
入国までの期間1〜3か月4〜6か月
日本語力比較的高い(N3〜N2)個人差が大きい
住居の準備自身で手配済みの場合あり企業側で準備が必要
初期費用の総額35〜70万円70〜120万円

コストを重視するなら国内在住者の採用を優先し、必要な人数が確保できない場合に海外からの呼び寄せを検討するのが合理的です。

外国人採用の費用を抑える3つのコツ

同じ制度を利用しても、やり方次第で費用には最大30%以上の差が生まれます。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

コツ1:複数の監理団体・紹介会社を必ず比較する

監理団体の管理費は月額2.5万円〜5万円と幅があり、紹介会社の手数料も20万円〜50万円とバラつきがあります。最低3社以上の見積もりを取ることで相場観が掴め、交渉の余地も生まれます。「入会金無料・月額管理費高め」と「入会金あり・月額管理費安め」のどちらが有利かは、受入れ人数と期間によって変わるため、シミュレーションしましょう。

コツ2:送出機関の手数料を事前に確認する

送出機関の手数料は国やルートによって大きく異なります。特にベトナムの送出機関は手数料が高い傾向にあるため、インドネシアやミャンマーなど手数料が適正な国も視野に入れると選択肢が広がります。また、送出機関が実習生本人から不当な金額を徴収していないか確認することは、失踪リスクの低減にもつながります。

コツ3:無料の比較・相談サービスを活用する

自社だけで情報収集するのは限界があります。採用ナビのような無料比較サービスを活用すれば、御社の条件(業種・職種・受入れ人数・エリア)に合った監理団体や紹介会社を効率的にマッチングできます。紹介された複数社の中から最適なパートナーを選ぶことで、無駄な費用を大幅にカットできます。

注意すべき隠れコスト6選

紹介料や管理費だけを見て「この金額で収まるだろう」と考えていると、予想外の出費に後から気づくことになります。以下の隠れコストを事前に把握しておきましょう。

  • 住居費(寮の準備・光熱費):社宅やアパートを用意する場合、初期費用に加えて光熱費の一部を企業が負担するケースが多いです。家賃の控除上限は居室面積等に基づく適正額まで。実質負担は月1〜3万円/人程度になることがあります。
  • 日本語教育費:業務で必要な日本語力の向上のため、オンライン日本語教室や教材費が発生します。月額5,000〜15,000円/人程度が目安です。
  • 帰国時の旅費:技能実習制度では、実習修了時の帰国旅費を企業が負担する義務があります。航空券代5〜15万円/人を予算に計上しておく必要があります。
  • 社会保険料の事業主負担:外国人であっても日本人と同様に、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険への加入が義務です。給与の約15〜16%が事業主負担として上乗せされます。
  • 技能検定・試験の受験費用:技能実習では各段階で技能検定の受験が必要であり、受験料・交通費・練習用材料費などが発生します。1回あたり1〜3万円が目安です。
  • 安全衛生教育・特別教育の費用:建設現場での作業には各種特別教育(足場の組立て等)の修了が必要です。外部講習の受講費用として1人あたり1〜2万円/種がかかります。

これらの隠れコストを合計すると、初年度だけで1人あたり追加で30〜60万円になる可能性があります。資金計画を立てる際は、紹介料・管理費だけでなく、これらの費用も含めた「受入れ総コスト」で判断しましょう。

まとめ:外国人採用の費用は「比較」で大きく変わる

建設業における外国人採用の費用をまとめると、技能実習は1年目で80〜150万円特定技能(国内)は35〜70万円特定技能(海外)は70〜120万円が相場です。これに住居費・日本語教育費・社会保険料などの隠れコストが加わります。

重要なのは、同じ制度でも依頼先によって費用に最大30%以上の差があるということです。複数の監理団体・紹介会社を比較し、見積もりを精査することが、コスト最適化への最短ルートです。

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