育成就労制度読了 10分

【2027年施行】育成就労制度とは?技能実習との違いをわかりやすく解説

2024年6月、技能実習制度を廃止し新たに「育成就労制度」を創設する法案が国会で成立しました。施行は2027年4月1日。外国人材を受け入れている企業にとって、過去30年で最大の制度転換です。

本記事では、育成就労制度の全体像をわかりやすく整理し、技能実習制度との具体的な違い、スケジュール、そして企業が今から取り組むべき準備を解説します。

育成就労制度とは? -- 概要をわかりやすく解説

育成就労制度とは、現行の技能実習制度を廃止し、その代わりに新設される外国人材の受入れ制度です。正式名称は「育成就労法」(出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律)で、2024年6月14日に参議院本会議で可決・成立しました。

これまでの技能実習制度は「国際貢献」を建前としていましたが、実態としては人手不足を補う労働力として機能しており、その矛盾が長年指摘されてきました。失踪者は年間9,000人超(2023年)に上り、国連や米国務省からも人権上の問題を指摘されていました。

新しい育成就労制度では、「人材育成」と「人材確保」を制度の目的として正面から掲げています。外国人労働者を「育成する対象」であると同時に「確保すべき人材」として位置づけた点が、最大の転換です。

制度の基本設計

  • 在留期間: 最長3年(その後、特定技能1号・2号へ移行可能)
  • 対象分野: 特定技能制度の対象分野と原則一致(16分野)
  • 転籍(転職): 同一分野内で条件を満たせば可能
  • キャリアパス: 育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号(無期限・家族帯同可)

技能実習制度との7つの違い(比較表)

育成就労制度と技能実習制度は、名前が似ているだけで中身は大きく異なります。企業が押さえるべき7つの主要な違いを比較表にまとめました。

項目技能実習制度(現行)育成就労制度(2027年〜)
1. 目的国際貢献(技術移転)人材育成 + 人材確保
2. 転籍(転職)原則不可同一分野・就労1年以上等の条件で可能
3. 在留期間最長5年(1号1年+2号2年+3号2年)最長3年(その後特定技能へ移行)
4. 監理体制監理団体が監理監理支援機関(許可要件を厳格化、外部監査義務化)
5. 受入れ人数枠常勤職員数に応じた人数枠受入れ人数枠を見直し(詳細は省令で規定予定)
6. 送出機関送出国の認定機関(手数料が不透明)手数料の上限設定・二国間協定による透明化
7. 日本語能力明確な要件なし就労開始時N5以上、1年後にN4相当の確認試験

特に注目すべきは「転籍の解禁」です。これまで技能実習生は原則として受入れ企業を変更できませんでしたが、育成就労制度では一定の条件(同一分野・1年以上の就労・技能検定基礎級合格・日本語N5以上など)を満たせば転籍が認められます。

企業にとっては「せっかく育てた人材が他社に移るリスク」が生まれます。しかし裏を返せば、待遇や労働環境が良い企業には優秀な人材が集まりやすくなるということでもあります。

育成就労制度はいつから? -- 施行スケジュール

「育成就労制度はいつから始まるのか」は、最も多い質問の一つです。以下のタイムラインで進行しています。

時期内容
2024年6月改正法が国会で成立・公布
2024年〜2026年政省令・基本方針の策定、受入れ分野の確定、監理支援機関の認定基準策定
2027年4月1日育成就労制度の施行(新規受入れ開始)
2027年〜2030年頃経過措置期間。既存の技能実習生は旧制度のまま在留期間満了まで継続可能

現在(2026年2月時点)は、政省令の整備や各種ガイドラインの策定が進められている段階です。監理支援機関の認定基準や、転籍の具体的な運用ルールなど、実務に直結する詳細が今後明らかになっていきます。

経過措置のポイント

施行日(2027年4月1日)の時点で既に技能実習生として在留している外国人は、現行制度の下で在留期間の満了まで活動を継続できます。強制的に新制度へ切り替わるわけではありません。ただし、在留期間の更新時に育成就労への移行を選択できるケースも想定されています。

企業が今すべき5つの準備

施行まで約1年。「まだ先の話」と思われるかもしれませんが、受入れ体制の見直しには時間がかかります。以下の5つは、今から着手すべき最優先事項です。

1. 現在の受入れ体制の棚卸し

まず自社の現状を正確に把握しましょう。現在受け入れている技能実習生の在留期間・号数・人数、技能検定の合格状況、日本語レベルなどを一覧化します。施行後の経過措置の適用や、育成就労への移行判断に必要な基礎データとなります。

2. 監理団体(監理支援機関)の対応状況を確認

現在利用している監理団体が、新制度下での「監理支援機関」としての認定を受けられる見込みがあるかを確認してください。新制度では外部監査の義務化や、受入れ企業への訪問頻度の引き上げなど、要件が厳格化されます。対応できない監理団体は認定を受けられず、事業継続が困難になる可能性があります。

3. 転籍リスクへの対策(待遇改善・キャリアパス提示)

育成就労制度の最大の変化は転籍の解禁です。外国人材に「この会社で長く働きたい」と思ってもらうためには、以下の取り組みが有効です。

  • 給与水準の見直し: 同地域・同業種の相場と比較し、競争力のある水準に
  • キャリアパスの明示: 育成就労3年 → 特定技能1号 → 2号 → 正社員登用といった道筋を示す
  • 生活支援の充実: 住居・通勤・医療・相談窓口など、生活面のサポート体制
  • 職場の人間関係: 日本人社員との交流機会、メンター制度の導入

4. 日本語教育支援の体制整備

育成就労制度では、就労開始時にJLPT N5レベル以上の日本語能力が求められ、就労1年後にはN4相当の確認試験が実施されます。企業側にも日本語学習の機会提供が求められる見込みです。

  • オンライン日本語学習ツールの導入
  • 業務時間内の学習時間の確保
  • 現場で使う専門用語のマニュアル整備(多言語対応)

5. 特定技能への移行パスの設計

育成就労は最長3年。その後のキャリアとして特定技能1号(最長5年)→ 特定技能2号(在留期間の上限なし・家族帯同可)への移行パスを設計しておくことで、長期的な人材確保が可能になります。特定技能2号は在留期間の更新に上限がなく、永住権の取得にもつながるため、外国人材にとって最も魅力的なキャリアパスです。

よくある疑問Q&A

Q. 今いる技能実習生はどうなりますか?

経過措置があります。2027年4月の施行時点で在留中の技能実習生は、現在の在留資格のまま期間満了まで活動を継続できます。途中で育成就労へ切り替えることも可能ですが、強制ではありません。2030年頃までには全面的に新制度へ移行する見込みです。

Q. 受入れ費用は上がりますか?

総額では適正化される見込みです。現行制度では、送出機関が外国人から徴収する手数料が不透明で、100万円を超える借金を背負って来日するケースが問題視されていました。育成就労制度では、二国間協定に基づく手数料の上限設定と透明化が進められます。企業が負担する監理支援機関への費用は、要件厳格化に伴い若干の上昇が見込まれますが、不正ブローカーの排除により業界全体のコストは適正化に向かうでしょう。

Q. 転籍(転職)されたらどうすればよいですか?

最大の防止策は待遇改善です。転籍を恐れるのではなく、「転籍したいと思われない職場づくり」に注力してください。具体的には、給与水準の引き上げ、キャリアパスの明示、日本語教育の支援、生活環境の整備が有効です。なお、転籍には「同一分野」「1年以上の就労」「技能検定基礎級合格」「日本語N5以上」などの条件があり、無条件で自由に移動できるわけではありません。

Q. 技能実習が「廃止」されると聞きましたが、本当ですか?

はい、技能実習制度は廃止されます。ただし即座になくなるわけではありません。2027年4月以降、新規の技能実習生の受入れは停止され、育成就労制度に一本化されます。既存の技能実習生は経過措置により旧制度の枠組みで在留を継続でき、制度の完全移行は2030年頃を目処に進められます。

まとめ:育成就労制度への移行は「攻めの準備」が鍵

育成就労制度は、30年続いた技能実習制度を根本から見直す大改革です。ポイントを整理します。

  • 技能実習制度は廃止され、2027年4月から育成就労制度が施行される
  • 制度の目的が「国際貢献」から「人材育成+人材確保」に転換
  • 転籍(転職)が条件付きで可能になり、企業間で人材獲得競争が起きる
  • 日本語能力要件がN5以上に引き上げられ、企業の教育支援も重要に
  • 育成就労3年 → 特定技能1号 → 2号と、長期的なキャリアパスが設計可能に

この制度改革を「面倒な規制変更」と捉えるか、「優秀な外国人材を長期確保するチャンス」と捉えるかで、企業の競争力は大きく変わります。施行まで残り約1年の今こそ、自社の受入れ体制を見直し、攻めの準備を始めましょう。

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