育成就労制度読了 8分

育成就労制度の建設業対象職種一覧|型枠・鳶・鉄筋はどうなる?

2027年4月の施行が迫る育成就労制度。建設業界では「自社の職種は対象になるのか」「型枠や鳶、鉄筋は引き続き受け入れられるのか」といった疑問の声が多く聞かれます。

育成就労制度の対象分野は、原則として特定技能制度の対象分野と一致する設計となっています。建設分野は特定技能の対象16分野の一つであり、育成就労でも引き続き受入れが可能です。ただし、従来の技能実習制度とは職種・作業の区分が異なるため、正確な理解が不可欠です。

本記事では、育成就労制度における建設分野の対象職種を一覧で整理し、技能実習制度からの変更点、特定技能への移行パス、企業が今から準備すべきことまで網羅的に解説します。

育成就労制度と建設業の関係 -- 制度の概要

育成就労制度は、2024年6月に国会で成立した改正法に基づき、2027年4月1日に施行される新しい外国人材の受入れ制度です。現行の技能実習制度を廃止し、「人材育成」と「人材確保」を正面から目的に掲げた制度へと転換されます。

建設業は、国内の就業者の高齢化と若年層の入職減少により、深刻な人手不足が続いています。国土交通省の統計によると、建設業就業者の約35%が55歳以上である一方、29歳以下は約11%に過ぎません。こうした状況下で、外国人材の受入れは業界の持続可能性を左右する重要な施策となっています。

育成就労制度の基本設計(建設分野)

  • 在留期間: 最長3年(その後、特定技能1号へ移行可能)
  • 対象分野: 特定技能制度の16分野と原則一致。建設分野は対象
  • 転籍(転職): 同一分野内で一定の条件を満たせば可能
  • キャリアパス: 育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号(無期限)
  • 監理体制: 監理支援機関(従来の監理団体から移行、要件厳格化)

重要なポイントとして、育成就労制度における対象分野の設定は「特定技能の分野・区分と原則一致」とされています。つまり、特定技能「建設」で受入れ可能な業務区分が、そのまま育成就労の対象職種のベースになるという考え方です。

建設分野の対象職種一覧(育成就労制度)

建設分野の育成就労における対象職種は、特定技能「建設」の業務区分をベースに設定されます。2024年の制度改正により、特定技能「建設」の業務区分は従来の19区分から3つの大区分に再編されました。育成就労制度でもこの区分体系が基本となります。

以下の表は、建設分野で想定される主な職種と、従来の技能実習制度における対応関係をまとめたものです。

特定技能「建設」の3区分と主な職種

大区分主な職種(業務内容)技能実習での対応職種
土木区分コンクリート圧送コンクリート圧送施工
とびとび
建設機械施工建設機械施工
土工-(新設)
鉄筋施工鉄筋施工
鉄筋継手鉄筋継手(圧接・溶接)
型枠施工型枠施工
海洋土木工-(新設)
建築区分内装仕上げ内装仕上げ施工
左官左官
屋根ふきかわらぶき
塗装塗装
建築板金建築板金
吹付ウレタン断熱-(新設)
保温保冷保温保冷
ライフライン・設備区分配管配管
電気通信電気通信
電気工事-(新設)

注意: 上記の区分・職種は、2026年2月時点で公表されている情報に基づいています。育成就労制度の具体的な業務区分(細区分)については、政省令や分野別運用方針の策定過程で変更・追加される可能性があります。最新の情報は出入国在留管理庁や国土交通省の公表資料で確認してください。

型枠・鳶・鉄筋 -- 主要3職種の見通し

建設業で最も需要が高く、外国人材の受入れ実績も多い型枠施工・とび・鉄筋施工の3職種について、育成就労制度での位置づけを整理します。

型枠施工

型枠施工は、技能実習制度でも長年にわたり受入れが行われてきた主要職種です。特定技能「建設」の土木区分に含まれており、育成就労制度でも引き続き対象となる見込みです。型枠大工は建設現場で不可欠な役割を担っており、需要は今後も堅調に推移すると予想されます。

とび

とび職も技能実習・特定技能の両制度で受入れ実績がある職種です。足場の組立て・解体、鉄骨の組立て、重量物の運搬・据付けなど、建設工事の根幹をなす業務であり、育成就労制度においても土木区分の対象職種として位置づけられます。

鉄筋施工

鉄筋施工は、鉄筋コンクリート造の建築物・構造物において不可欠な職種です。技能実習での受入れ実績が豊富であり、特定技能の土木区分にも含まれています。育成就労制度でも対象職種として継続される見通しです。鉄筋継手(圧接・溶接)も別途対象となっています。

技能実習の対象職種との対比 -- 何が変わるか

育成就労制度への移行にあたり、従来の技能実習制度と比較して職種の扱いにいくつかの重要な変更があります。

変更点1: 職種・作業の区分体系が変わる

技能実習制度では、建設関係の職種・作業は個別に22職種33作業が設定されていました。これに対し、特定技能「建設」では2024年の改正で「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3大区分に再編されました。育成就労制度でもこの3区分体系がベースとなります。

項目技能実習制度育成就労制度
区分体系22職種33作業(細分化)3大区分(土木・建築・ライフライン設備)
業務範囲作業ごとに限定的区分内で幅広い業務が可能
区分の考え方「技能の種類」ごとに区分「工事の性質」ごとに区分

この変更により、例えば「土木区分」で受け入れた外国人材は、型枠施工だけでなく、鉄筋施工やとびなど土木区分内の他の業務にも従事させることが可能になります。企業にとっては現場の状況に応じた柔軟な人員配置がしやすくなるメリットがあります。

変更点2: 新たに対象となる職種

技能実習制度では対象外だったが、特定技能・育成就労で新たに対象となる業務があります。

  • 土工: 掘削・運搬・締固めなどの土木工事の基礎的作業。技能実習では独立した職種として設定されていなかった
  • 海洋土木工: 港湾・海岸工事等に関わる業務。技能実習では対象外だった
  • 吹付ウレタン断熱: 断熱施工の一種。省エネ需要の拡大に伴い追加された
  • 電気工事: 技能実習では「電気機器組立て」等の製造系はあったが、建設現場での電気工事は対象外だった

変更点3: 転籍(転職)が可能になる

技能実習制度では原則として受入れ企業の変更(転籍)は認められませんでしたが、育成就労制度では同一分野内での転籍が一定の条件を満たせば可能となります。建設分野の場合、「土木」「建築」「ライフライン・設備」の各区分内での移動が想定されます。

転籍の条件としては、就労開始から1年以上の経過、技能検定基礎級の合格、日本語能力試験N5以上などが検討されています。企業にとっては人材流出のリスクが生じる一方、他社で経験を積んだ即戦力人材を受け入れるチャンスにもなります。

変更点4: 日本語能力の要件が追加

技能実習制度には明確な日本語能力の要件がありませんでしたが、育成就労制度では就労開始時にJLPT N5以上就労1年後にN4相当の確認試験が求められます。建設現場では安全管理上の観点からも日本語の理解力は不可欠であり、この要件追加は現場の安全性向上にも寄与するものと期待されています。

特定技能への移行パス -- 育成就労から長期雇用へ

育成就労制度の大きな特徴の一つが、特定技能制度への接続が制度設計に明確に組み込まれている点です。技能実習制度でも特定技能への移行は可能でしたが、育成就労ではこのパスがより体系的に設計されています。

キャリアパスの全体像

段階在留資格在留期間主な要件
ステップ1育成就労最長3年入国時: 技能検定基礎級 + 日本語N5以上
ステップ2特定技能1号最長5年技能検定3級(または相当の評価試験)+ 日本語N4以上
ステップ3特定技能2号上限なし(更新制)技能検定1級(または相当の評価試験)+ 班長経験等

特定技能2号に移行すれば、在留期間の更新に上限がなくなり、家族(配偶者・子)の帯同も可能になります。さらに、一定の要件を満たせば永住許可の申請にもつながるため、外国人材にとって最も魅力的なキャリアパスとなります。

建設分野特有の移行要件

建設分野では、他の分野と比べて移行要件にいくつかの特徴があります。

  • JAC(建設技能人材機構)への加入: 受入れ企業はJACの正会員団体に所属するか、賛助会員となる必要がある
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS): 技能者・事業者ともに登録が義務
  • 建設特定技能受入計画の認定: 国土交通大臣の認定を受ける必要がある
  • 月給制の義務化: 建設分野の特定技能外国人には月給制での賃金支払いが義務づけられている
  • 同等報酬の確保: 日本人の同等技能者と同等以上の報酬水準が求められる

育成就労制度から特定技能への移行をスムーズに進めるためには、受入れ開始の段階からこれらの要件を見据えた体制構築が重要です。

企業が準備すべきこと -- 育成就労制度への対応

育成就労制度の施行まで残り約1年。建設会社が今から取り組むべき準備事項を、優先度の高い順に解説します。

1. 自社の対象職種を確認する

まず、自社が外国人材を受け入れたい職種が、育成就労制度の対象に含まれているかを確認しましょう。前述の通り、建設分野は「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分で広範な職種が対象となりますが、細区分(具体的な業務区分)の確定はまだ一部で進行中です。自社の業務内容がどの区分に該当するか、監理支援機関や行政書士に相談しておくことを推奨します。

2. 現在の技能実習生の移行計画を策定する

2027年4月以降、新規の技能実習生の受入れは停止されます。現在受け入れている技能実習生については経過措置が適用されますが、以下の点を整理しておく必要があります。

  • 在留期間の満了日はいつか(経過措置の適用期間を確認)
  • 技能検定の合格状況(特定技能への移行要件に影響)
  • 日本語能力の現状(N5/N4レベルに達しているか)
  • 本人の継続就労の意向確認

3. 監理支援機関の選定・確認

現行の監理団体は、育成就労制度の施行に伴い「監理支援機関」として新たな許可を取得する必要があります。全ての監理団体が自動的に移行できるわけではなく、外部監査の義務化や運営基準の厳格化に対応できない団体は許可を得られない可能性があります。

現在利用している監理団体に対し、新制度への対応状況を早期に確認してください。対応が不透明な場合は、複数の候補を比較検討しておくことが賢明です。

4. 転籍リスクへの備え(定着率向上策)

育成就労制度では転籍が認められるため、人材の定着施策が一層重要になります。建設業で有効な取り組みとしては、以下が挙げられます。

  • 給与水準の適正化: 同地域・同職種の相場以上の報酬を確保する
  • キャリアパスの明示: 育成就労 → 特定技能1号 → 2号の道筋を入社時に提示する
  • 技能向上の機会提供: 資格取得支援、多能工化の推進
  • 生活環境の整備: 住居の質、通勤手段、休日の充実
  • コミュニケーション体制: 多言語での相談窓口、定期面談の実施

5. 日本語教育体制の構築

日本語能力の要件が明確化されたことを受け、企業としても支援体制を構築する必要があります。特に建設現場では、安全指示の理解や危険回避のために日本語力は不可欠です。

  • オンライン日本語学習ツール(Eラーニング)の導入
  • 業務時間内での学習時間の確保(週2〜3時間程度)
  • 現場で使う専門用語・安全用語の多言語マニュアル作成
  • 日本語能力試験(JLPT)の受験支援(受験料・交通費の負担)

6. 建設キャリアアップシステム(CCUS)の対応

建設分野では、事業者・技能者のCCUS登録が義務化されています。まだ登録が完了していない場合は、育成就労制度の開始に合わせて速やかに手続きを進めてください。CCUS上の就業履歴は、技能検定の受験要件や特定技能への移行審査にも活用される見通しです。

まとめ:育成就労制度の建設業対象職種を正しく理解し、早期に準備を

育成就労制度における建設分野の対象職種について、要点を整理します。

  • 育成就労制度の対象分野は特定技能の分野と原則一致。建設分野は引き続き受入れ対象
  • 建設分野は「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3大区分に再編。型枠施工・とび・鉄筋施工など主要職種は全て対象に含まれる
  • 技能実習の22職種33作業から3区分への再編により、区分内での業務範囲が拡大。柔軟な人員配置が可能に
  • 土工・海洋土木工・吹付ウレタン断熱・電気工事など、新たに対象となる職種もある
  • 具体的な細区分(業務区分)は一部で策定が進行中。最新情報の継続的な確認が必要
  • 企業は自社の対象職種の確認、既存技能実習生の移行計画、監理支援機関の選定、転籍対策、日本語教育体制の構築を今から着手すべき

制度の移行期は、準備を怠った企業と先手を打った企業の間で大きな差が生まれます。特に建設業は人材の争奪が激しい分野です。対象職種の正確な理解と、受入れ体制の早期整備が、優秀な外国人材を安定的に確保するための鍵となります。

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